舞台「〇〇な人の末路」(まる末)の感想

舞台「○○な人の末路 ~僕たちの選んだ××な選択~」の公演が終わりました。


公演が始まったころは、 まさかこんな千秋楽を迎えることになるなんて、 思ってもいなくて、千秋楽が終わったらレポート書いて、 コンサートが始まって楽しみ…なんて思っていたけど、 それが叶わなかったのは、とてもとても残念です。
見たいのに見られなかった人もいらっしゃる中で感想書くのはどうなのだろう… とも思いましたが、それでも、 やっぱり見たものを形として記録に残したいな、と思ったので、 感想をまとめることにしました。あらすじや、 ネタバレがっつりなのでご注意ください。 メモとっていたわけではないので、 違うところがあるかもしれませんが、あしからず。


(あらすじ)
事故で失明した兄・敏幸と、 それを支える弟の陽左志は親の遺したアパートの2階でふたり暮らし。両親は離婚し、父親は外に女を作って失踪、 母親は近所の子どもを助けようとして交通事故に遭って亡くなっている。
ある日、敏幸は1階のラーメン屋の娘の海月に思いを寄せ告白するが、 断られてしまう。一方、陽左志は「 自分は幸せになってはいけない」と、 ずっと心に抱える何かがあるようだった。
ある日、1階のラーメン屋で、 いなくなったはずの父親を見かけるふたり。 その日はカメラマンをしている敏幸のモデルの面接の日でもあった 。
モデルの面接に行くか、父親に会うか、 ふたりの出した答えの末路とは。
月sideではモデル・亜衣良の面接に行った末路、 海sideでは父親に会った末路が描かれる。

 


●月と海の展開で違うところや伏線の回収の違い(箇条書き)

・ 前半で盲目の敏幸が箱から帽子を取り出して触れるシーンがある。 月sideでは、 それは敏幸を廃墟から突き落として失明させた犯人(実は陽左志) のものであることが判明するが、海sideではその後、 帽子は登場しない。


・前半で空き巣が多発している話が登場する。 海sideではその後、 空き巣をネタにどっきりを仕掛ける展開があるが、 月sideではその後空き巣の話題は出てこない。


・占い師・轟さんの占い結果から「陽左志を幸せにするために、 人前で号泣させよう」とする作戦内容(ギャグパート)が違う
月side→ロシアン餃子ルーレットと、プレゼント& イタコ的な能力で母親に会わせる作戦
海side→足に寸胴を落とすゲームと、 ラーメン屋に偽の空き巣がやってくる作戦


・海sideでは、 敏幸と父親が血のつながりのない兄弟であることがわかる。 そのため、海sideでは、 実は敏幸が子どもの頃に優等生で居続けようとしたり、 わがままな陽左志を許せなかったりしたのは、 血のつながりのない父親に気に入られたかったためだということがわかる。 月sideには同じ過去の喧嘩シーンはあるものの、 最後まで観客には血のつながりがないことが明かされない。


・海sideでは父親の本当の離婚理由がわかる。 実は盲目の敏幸をひどく扱った酔っ払いに父親が激怒し殴り殺していた。父親は家族を犯罪者の家族にしないよう離婚した。( 実際は酔っ払いは死んでおらず、その後、事件にはならなかった)


・海月は海sideでは、轟さんの「 3か月経つまでは想いを伝えてはいけない」 という占い結果を守り、 告白を断った3か月後に告白をしなおして敏幸と結ばれるが、 月sideでは3か月経つ前に告白して振られてしまい、 敏幸は亜衣良と結ばれる。


・海sideでは、 敏幸を突き飛ばした犯人が陽左志だと父親が知っていたことがわか る。


・ 月sideではお金のために家の売却についての決断をするのは陽左志だが、海sideでは敏幸が決断する。 月sideでは敏幸の目の手術費のために売却する、 海sideでは父親の病気の治療費のためには売却はしない、 という選択になる。


・ 月sideでは敏幸の目は亜衣良の母のつてで手術して見えるようになるが、海sideは手術を受ける選択肢が存在しない( 亜衣良に出会わない)ため、見えるようにはならない。

 

・ 笑原兄弟の母親が助けた子どもは有名youtuberのシルビアとなり、兄弟に恩返しに来るが、恩返しの内容が違う。
月sideでは、 シルビアがもともと買っていた向かいの土地を売り、一度売りに出した笑原家の家を買い戻してくれる。 海sideではシルビアは父親の治療費を出してくれる。

 

 


●感想
見終わった直後の感想は「脚本がいい!」でした。
ドラマ版のまる末もでしたが、 人の良いところも悪いところも描かれていたけど、 最後にはあったかい気持ちになる空気感は変わらないままで、 ドラマ版が好きだった私にはガッツリ好きなストーリーでした。( 一緒に見た母は、ご都合主義的なハッピーエンドで、 先が読めたって言ってたから、好みによりそう)
そして、伏線の回収が見事!
ギャグ部分とシリアス部分の緩急もあり、 笑えるところと魅せるところのメリハリもよかったです。

 

月sideのほうを先に見たので、海sideを見て、 子ども時代の敏幸と陽左志の確執の理由を知って納得、 というアハ体験ができました。( 海sideを先に見てたら帽子の謎が月sideで解けるのもいい )
印象的には、海sideは笑原兄弟の過去にケリをつける話、 月sideはふたりの未来を作る話だと思いました。


ダブルキャストであることについては、ドキュメンタリー番組「 Ride on Time」で舞台の裏側を見たのですが、
横尾さんが「結構ちがうね。(宮田は) ごめんごめんごめんって言えるじゃん。…(俺のは) しょうがないじゃん、目が見えねえんだから!って言えちゃう。 宮田俊哉が作る敏幸は優しい。俺が作る敏幸はやさぐれてる」 って言ったのと、
千賀くんが言った「根本的な問題が一個あって、( 二階堂が演じる弟の)キャラクターが全然想像してたのと違った」
って言ってたのは、本当にそうだな、と。

海月が敏幸への気持ちを打ち明けるシーンで「 明るくて前向きで優しくて」(ニュアンス) と敏幸のことを語っていたけど、 一番最初に見た月sideの敏幸は明るいけど、 自分の目が見えないことをとても負い目に思っているような感じで 、それこそ横尾さんの言う「やさぐれている」 感じがちょっとだけ滲んでいました。一方、宮田くんの敏幸は、 ひたすら優しくて、 目が見えないことを乗り越えて生きていく肝が据わっているような印象を受けました。

陽左志像も全然違っていて、 千賀くんの陽左志は素朴でかわいい弟。ギャグパートでも、 ノリノリでツッコむハイテンションさも魅力でした。一方、 二階堂くんの陽左志はクールさとヤンチャさが混ざり合っている印象。千賀くんの陽左志のほうがファンタジーみがあって、 二階堂くんのは現実派。宮ニカのほうがザ・ 男兄弟感が強かったかな。

同じ役で、途中まで同じストーリーでも、 役者さんによって役の解釈が違っているおもしろさが体感できました。

 


●千賀くんについて
実は千賀くんの舞台の演技を生で見るのは初めてでした。( ドリボ当たらなさすぎた)

今回はナイーブな弟、という印象で、 演技がぴったりハマっていました。

個人的には「みづきちゃん」「まゆこちゃん(※ラーメン屋の店員さんの名前)」 ってラーメン屋のふたりの呼び方が可愛くて可愛くて…! 私の名前がみづきかまゆこだったら、心臓がもたなそうだな、 と思ったり。男女関係なく友達がいて、 モテそうな匂いを醸し出している陽左志でした。
そして、なんといってもギャグパートで生き生きしすぎている…!
あんなに楽しそうに突っ込んでる姿を見たら、 もっと千賀さんにコントを…!と思わずにはいられない笑 yummy見よう…


●二階堂くんについて
脚が細長すぎて、白ニットが似合う。スタイル良すぎおばけか! なニカちゃん。

ギャグパートでは、 まゆこちゃんの想像上の陽左志がロボットみたいな感じで登場するんですが、それが上手すぎて笑いが止まらなかった…! とっても器用!
クールな印象の役だったから、ツッコミが鋭利な感じで、 普段のニカちゃんとは全然違って面白かったです。
カーテンコールとのギャップも人一倍で、 急にかわいいアイドルになるニカちゃんに驚きを隠せなかった…! お手振りがかわいい…手が大きい…


●宮田くんについて
演技がとても安定していて、 やさしさの中に強さを出すのがとてもうまいな、と。
海月への告白するシーンも、 力強さの中に自信のようなものが見えて。
最後に罪を告白した陽左志を許すシーンでも、 そのやさしさや力強さが遺憾なく発揮された素晴らしい演技が見られました。

あと、 衣装の印象も横尾さんとだいぶちがったのが面白かったかな。 横尾さんは黒のズボンのシーンでも、 宮田くんはベージュのパンツだったり。
音楽を聴いているシーンでは、宮田君はイヤホンだったけど、 横尾さんはヘッドホンだったりしていて、 それぞれの役に合わせて衣装や小物の雰囲気も変えているのが、 とても作りこまれている感じがしました。


●横尾さんについて
銀河英雄伝説以来の舞台ということで、 2014年から6年も経っている…!?

横尾さん最近太ったとか言うし、 テレビでも大食い企画やってるし、ちょっとお顔も丸い時あるし… と思ってたけど、実物見たら細っ!スタイル良すぎお化けか!?( その2)

コンサートの時は重ね着めっちゃしてるし、 アンコールですらロンT着てるし距離あるしで、 横尾さんの体型にそこまで意識がいかなかったのですが、 半袖のTシャツをサラッと着るシーンがあるこの舞台やばくない? (語彙力の喪失)ノーメガネで素敵な顔がよく見えました。
特にアパート2階にいる横尾さんは盲目のために客席側を見ているような感じで、見切れ2階席では目が合ってるかのようでした…(ため息)

横尾さんは見えていない演技が上手かったのと、 ハンデを負っていることをすごく気にしているのが見て取れたのが苦しかったです。
海月に告白をするシーンの切なさは、 宮田くん版よりもぎりぎりとするような、 そんな切なさにあふれていました。自信をかき集めて、 一生懸命に告白している感じ。
逆に、 ラストの陽左志を許すシーンはまるで菩薩のようなあたたかさで溢れていて、一つの舞台のなかで敏幸の成長を感じました。
あと、横尾さんの敏幸モテすぎ問題。 海月ちゃんと亜衣良ちゃんの気持ちわかるよ! めっちゃカッコいいもんな…!亜衣良ちゃん大事にしろよ…!


舞祭組メンバー以外では、 亜衣良の母親役の高橋ひとみさんの演技が上手すぎて、 登場のコメディ部分から爆笑しっぱなしでした! 格の違いを見せられたようでした。
お父さん役の坂田さんは、どこか憎めない父親像の絶妙なニュアンスと、 子どもたちへの愛が伝わる難しい演技をされていたなと感じました 。
そのほか、ハシエさんや轟さん、 ラーメン屋のマスターや海月ちゃん、亜衣良ちゃん/ 莉音やまゆこちゃんたち役者陣は、 主役も後半の展開も違う舞台を危なげなく演じていて、さすが…!
一日に違う内容の公演もあったのに、脱帽です…!

 


今回の舞台は、キスマイファンとしては、 舞祭組の頼もしさだったり、進化を感じたものでした。
演技も日々変化していくし、できれば、 来られなかった人のためにいつか再演されるといいな。
最初に振替の案内を見たときにも思ったけど、 舞台のスタッフさんたちやキャストさんたちは最後までどうにか舞台を安全にできないかと考えてくれていた様子は、 案内の文章や舞祭組メンバーのコメント動画でもひしひしと伝わってきました。尽力していただき、本当にありがとうございました!
横尾さんが「記録用の映像も、要望が多ければ日の目を見るかも… 」(ニュアンス)と動画で言ってくれたので、 私もファミクラにDVD化の要望を出しました。


いつかまた、「○○な人の末路」の舞台が見られることを祈って、 今回の感想は終わりにいたします。