山田孝之とサシ飲みしてる感覚になった「映画 山田孝之 3D」(ちょっとネタバレ注意)

※この記事はネタバレを含みますのでご注意ください。

 

「映画 山田孝之 3D」を観てきました。


www.tv-tokyo.co.jp

 

私は冬のドラマ「山田孝之のカンヌ映画祭」を見ていたので、映画も見たいと思ってはいたのですが、急遽昨日友人に誘われ、まさかの公開初日に映画を観に行くことになったのです。

www.tv-tokyo.co.jp

山田孝之のカンヌ映画祭」についてあらすじをざっくり説明すると、俳優・山田孝之が山下監督とプロデューサーとしてカンヌを目指した映画作りを始めたものの、途中で企画が倒れてしまい…というドキュメンタリードラマ。どこからフィクションでどこからノンフィクションなのか、完全にはわからない不思議な世界観が楽しめる作品でした。もしかして全部の全部がフィクションなのでは、と思ってしまうくらい、山田孝之芦田愛菜さんの演技が上手すぎてとってもハマった作品でした。

そして、この映画はカンヌを目指していた作品の企画が倒れて山田孝之と山下監督に生まれた亀裂を芦田愛菜さんが取り持って実現した企画、という位置づけです。うん、またフィクションかノンフィクションかわからない。しかし、そこがいい。

 

さて、映画についてですが、一言で言うと、「山田孝之」をひたすら堪能できる作品。

映画なのに濃厚なエッセイ本を読んでいるような感覚が近い気がします。本を読んでいる時って、活字を追いながら頭でいろいろイメージを膨らませている気がするのですが、それが可視化されているような、抽象的ですが、そんな印象。

まず、山下監督が山田孝之にインタビューをしながら、彼の考えてることや過去について深く潜っていく。それに淡々と山田孝之が答える後ろで、いろいろなイメージ映像が駆け抜けていく。映し出されるイメージ映像は、その話の内容に即しているキーワードのようで、実はただ雰囲気が近いだけのあまり意味のなさそうなイメージだったりもする。そんなちょっとミスマッチな感じにも浸れる楽しい作品でした。

また、語られる内容もバラエティに富んでいます。俳優としての山田孝之の歴史や、演技プラン、子どもの頃の話、家族の話、おっぱいの話まで。くすりと笑えるシーンもところどころにちりばめられていたり…。

途中、山田孝之の演技への挑み方を話すシーンは彼の職人技を感じられるし、映画のラストに向けての伏線としても機能していて、とてもスパイスが効いていました。全体的に「俳優・山田孝之」だからできることがちりばめられた内容、構成だったと思います。

実力派と呼ばれる山田孝之だからこそ、ドラマと同じく、どこからがフィクションでどこからがノンフィクションか、境界線があいまいで、その巧妙さを存分に味わえる作品だと思いました。

また、人の人生をこんなにじっくり聞くことができる経験はなかなかない。でも、彼の子どもの頃の人間関係や恋愛、家族の話を聞いていると、フィクションとかノンフィクションといったことは関係なく、自分はどうだっただろう、という気持ちに連れて行かれるので、自分を見つめ直すきっかけになる作品だなと思いました。

 

あと、気になったのは3D演出。正直3Dじゃなくても成立する映画だし、そこまで飛び出たり奥行が出るところに特化した感じもないな、とは思ったりはしましたが…(あってもいいけどなくても楽しめる作品ではあると思ったので)

ただ3Dでよかったのは、なぜか勝手に山田孝之とサシ飲みをしている気分になれることでした。ずっとこっちを見て、とつとつと過去のことを話してくれる山田孝之の様子に、サシ飲みができるくらい彼と親密になった感を感じられます。山田孝之とサシ飲みをしたくなったら是非見てほしい映画です。もう一軒、って言いたくなっちゃいました。笑

 

そして余談ですが。映画を見た後、無性にお寿司が食べたくなりました。それくらい映像が幻想的できれいでした。