ドラマ「リバース」から目が離せない ※原作ネタバレはなしですがドラマのネタバレあり

金曜夜10時に放送中の湊かなえ原作「リバース」のドラマ。

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現在2話まで放送中ですが、このドラマからすでに目が離せなくなっています。

私はもともとドラマが好きで、毎シーズンどんなドラマが放送されるのかチェックしていたので、もちろんリバースが放送されるのもとてもとても楽しみしていました。今回は、そんな期待をまったく裏切らないどころか、毎週金曜日が楽しみで仕方なくなっている「リバース」の魅力を書きたいと思います。

ちなみに「リバース」の原作はドラマが終わった後に読もうと思っているので、原作のネタバレはありませんが、ドラマのネタバレ(2話現在)はありますのでご注意ください。

 

●重厚なイヤミス

湊かなえさんはご存知「イヤミス読んだ後に嫌な気分になるミステリー)の女王」と呼ばれる作家です。私自身湊作品が好きでいくつか作品を読んでいて、人の価値観や視点のずれから大きな事件に発展してしまう悲劇がすばらしいと感じていますが、「リバース」も例に漏れず、それぞれの立場、視点の違いが謎の鍵になっているように思います。

友人らしい友人がいなかった地味な自分にコンプレックスを感じながら生きていた深瀬(藤原竜也)。ひとりでカツカレーを食べたりどこかマイペースで明るい性格だが、ひとりだけ内定をもらえていない広沢(小池徹平)。どこか地味な人間を馬鹿にしているような態度をとりながらも職場ではパワハラを受けている谷原(市原隼人)。派手グループにいながらもバランスをとって立ちまわれる器用さをもちつつ、教師になるためにストイックな浅見(玉森裕太)。議員の父を持ち恵まれた生活をしていながら、議員として認められず夫婦生活も破たんしつつある村井(三浦貴大)。

メインの5人もそれぞれ全く違う立場から、違う悩みを抱えて生きている。10年前5人で行ったゼミ旅行での悲劇も、おそらくそれぞれの立場から、まったく違った事件になってしまっていることでしょう。

幾重にもからまった謎が解明される時、嫌な気持ちになりつつ、同時に爽快感を感じられるのが「イヤミス」の最大の魅力。それぞれの登場人物の「イヤ」な部分に目を向けながら、そして、真相は何なのか、と探りながらも、新たな事件が起こっていくテンポのよさに、私は毎週リアルタイムで見たい気持ちが止められないのです。

 

●綺麗な映像とモノローグシーンの演出

2014年に放送された湊かなえ原作「Nのために」がとても好きだったので、同じチームが集結するということで、それだけでテンションがあがりました。

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「Nのために」といえば、透明感のある榮倉奈々さん、窪田正孝さんの高校時代のシーンが本当に美しくて切ない気持ちになったのを覚えています。キラキラした海、田舎の風景、スロー再生に写真のシャッターの演出、音楽が絶妙によかったです。

「リバース」でも、スロー再生の雪の舞う中、出かけていく広沢の後ろ姿の儚いシーンがとても幻想的で、だからこそ、その後の悲劇がかなしいものとして視聴者に伝わってくる美しいシーンとなっていました。逆に、「リバース」というタイトルにのっとった回想シーンに入る時の逆再生の演出は、ミステリーとしてどこか不安にさせる不穏な空気作りに一役買っています。綺麗なシーンと不穏なシーンのバランス、綺麗なシーンはとことん美しい音楽を、不穏なシーンは疾走感のある音楽を、その緩急が見事だな、と思います。

それから、湊作品のキーとなるモノローグ。独白という形をとりながらもそれぞれの人物の価値観が浮き彫りになる大切なものですが、藤原さんのモノローグは舞台っぽい臨場感があり、深瀬というキャラクターの存在感を強めています。これから他のメンバーのモノローグが見られるのかはわかりませんが、この演出も絶妙なスパイスとなっていて、見どころだと思います。

 

●キャスト陣の演技

ドラマの制作が発表された時にまず話題になったのは、藤原竜也さんと戸田恵梨香さんの「デスノート」以来の共演でした。その他、実力派と呼ばれるキャストが揃っており、実際期待を裏切らない演技に魅了されています。

中でも主役の藤原竜也さん。他の作品で拝見していると、悲劇的な運命を背負っていたり、頭脳明晰で冷静な役のイメージが強かったり、人間のクズと呼ばれるような役をやっていたり、とても華のある俳優さんという印象でした。そんな藤原さんが地味でオドオドしていて、でも優しくてどこか憎めない愛しいキャラクターを違和感なく演じているのは、やはりその演技力のすごさなのだな、と再認識をしました。

特に印象に残っているのが、2話のシーン。

亡くなった広沢と4人が対面し、広沢の父(志賀廣太郎)の台詞。

「顔をあげてください。由樹は最期の一日楽しく過ごせましたか?何かうまいもので食うたんならええんやけど」 

それに対し、 土下座をしながら涙に身体を震わす市原さん、玉森さん、三浦さんの何も言えない後悔の気持ちと、涙を流し続けながら友を思い、幸せだった思い出を紡ぐ藤原竜也さん。一瞬も目の離せない、心が震えるシーンでした。

あとは、毎回見ていてイライラさせられる演技の市原さん。主人公サイドで見ると、どうしても派手グループとしての傲慢さが際立って見えて、その圧力と人としてのずるさが目立ってしまう人物像ですが、逆にいい夫・いい父親の面やパワハラに悩まされている面もあって、人間味があってとても説得力のある演技をされていると思います。演技だとわかっていても、私は毎回その物言いにカチンときてしまう。やはり実力派の俳優さんですね。

それから、一応キスマイファンとして。玉森さんはハマり役をもらったな、という印象でした。この作品は玉森さんありきというよりは、TBSが湊作品を藤原竜也主演で作る、というところから視聴を決めていたので、その布陣に玉森さんが入っていたことには正直びっくりしました。しかし、実際に演技を見て、一人20代でも違和感のない馴染みっぷりに、そして冷静さと情熱のバランスに、役としてハマっていると思いました。

今まで玉森さんの役ではわりとイケメンかっこいい役が多く、しかし正直あまりハマってないかも、という印象でした。ちなみに、今までで一番よかったのは「レインツリーの国」で、優しくて好青年の伸さんのイメージと演出が玉森さんの柔和な印象にわりとマッチしていた、という感想でした。(私は有川作品の原作ファンだったので、最初キャスティングを聞いた時はどうなっちゃうんだろう…と不安に思っていましたが、ストーリーや演出があたたかい印象の玉森さんにわりと合っていた、という印象)

今回はイケメン枠でもなければ、アイドル状態の玉森さんのキャラクターと被っているわけではないので、演技力の求められる芝居も多いのかな、と思いますが、とても素敵な浅見先生が見れているので、きっとこれまでで一番の当たり役になる予感。今後の活躍も楽しみです。

 

あと、個人的に注目なのが村井の夫人・村井香織(趣里)。幸せに見える恵まれた夫婦でありながら、目的のためには手段を選ばないような危うさを持った夫人。今後のストーリーにも大きく絡んできそうで期待です。

 

来週は「ついに最初の犠牲者が」と予告であったので、ストーリーがまた大きく動きそうで、これからも目が離せません。次回は飲み会の予定があるので、リアルタイムで見られそうもないのが少しだけ悔やまれつつ、録画はバッチリして楽しみにしたいと思います。